SSブログ

NBAプレイオフ クリッパーズースパーズ レポート [NBA]

NBAプレイオフ1回戦屈指の好カード、ロサンゼルス・クリッパーズ対サンアントニオ・スパーズの対戦は最終第7戦へ。スパーズは天王山の第5戦を、クリッパーズは後がない第6戦をそれぞれ敵地で勝利。シリーズは、クリッパーズの本拠地ステイプルズ・センターに戻ってきた。

クリッパーズはクリス・ポール、ブレイク・グリフィンのデュオにデアンドレ・ジョーダンが絡むハイパワー・オフェンスが武器。しかし、ただでさえベンチ層が薄く先発の出場時間が長くなっている中、ベンチの得点源ジャマール・クロフォードが不調。また、FT%30%台のジョーダンに故意にファウルをしてフリースローを射たせるハック・ア・ジョーダン戦術を仕掛けてくる中、グレン“ビッグベイビー”・デイビスが第6戦で足首を捻挫。ベンチに不安を抱えている。

一方、昨季王者のスパーズは、ベンチが充実。ベテランが多いが出場時間をシェアしながらコンスタントに得点を重ねるスタイル。このシリーズは、困ったときにインサイドで得点できるティム・ダンカンが好調を維持。一方、トニー・パーカー、ディアゴ・スプリッターらがやや低調なのが気がかりなところ。試合巧者ぶりを発揮してはいるが、クリッパーズを振り切るまでには至らず、シリーズは最終戦にもつれ込んだ。


【1Q】
ゲームは、クワイ・レナードのフローターからスタート。序盤からスパーズのシュートが好調で、パーカーのドライビング・フローターが決まり、19-11とスパーズがリード。

一方、クリッパーズはマット・バーンズの2本のスリーを含む10得点で反撃開始。ポールがディアウから奪ったボールを自ら持ち込んでスリーを決め、23-22と逆転に成功。しかし、ポールがこのプレイで左ハムストリングを痛め、ロッカールームへ。攻撃の大半をポールに負っているクリッパーズは最大の危機を迎えた。

ここで、クリッパーズはポールに替わってフロアに入ったクロフォードが連続得点でリズムを保つ。スパーズはベンチから登場したパティ・ミルズ、ボリス・ディアウのスリーを決めて30-28とリードして第1クォーターを終えた。

両チームともFG%が50%を超える展開。スパーズはダンカンが9得点、積極性を見せたパーカーが6得点でチームをリードした。


【2Q】
第2クォーターは、ピックアンドロールでマルコ・ベリネリからボールを受けたスプリッターのレイアップでスパーズが先手を取ると、グリーンのスリーなどで得点を重ねる。クリッパーズは引き続きクロフォードが躍動。グリフィンへのダンクをアシストすると、ジャンパー、ドライブからのレイアップで連続得点。残り6分で39-38でスパーズのリードはわずか1点。ベンチ層の差が出やすい時間帯でクリッパーズが踏みとどまった。

ここで、ロッカーから走って戻ったクリス・ポールが戦線復帰。超満員のアリーナの士気は大いに上がる。しかし、脚の故障の影響でポールのスピードは上がらず、それに対してスパーズはレナードをマークに付けて潰しにかかる。

それに対して、クリッパーズはインサイドのグリフィンにボールを集め、45-44と逆転。しかし、残り4分、ダンカンのレイアップに対してグリフィンが3つ目のファウルを犯し、コートから追い出されてしまう。

第6戦好調だったJJ・レディックは、厳しいマークにあってこの日は不調。クリッパーズの攻撃の手段がことごとく断たれたところに、スパーズはパーカーのジャンパーなどで50-49と逆転。この窮地にクリス・ポールが奮起。ドライブからジャンパーを決めると、デイビスのレイアップをアシストし、53-52と再び逆転。

残り1分を切ったところで、スパーズはこの日はじめてのハック・ア・ジョーダン戦術。ジョーダンは2投とも外すも、デイビスがリバウンドを奪い、クロフォードのスリーに繋げる。しかし、スパーズはディアウがスリーを決めて点差を2点に縮めて、クリッパーズの57-55で前半終了。

スパーズはダンカン13点、レナード9点、パーカー8点と主軸が活躍。ダンカンがインサイドで存在感を発揮するがクリッパーズのトラブルを突いて主導権を握るまでには至らなかった。クリッパーズはグリフィン13点にポール不在の穴を埋めたクロフォードが12点で続いた。ポールの故障にグリフィンのファウルトラブルと苦しい展開を乗り切ったが、後半も不安要素を抱えたまま戦わざるをえなくなった。


【3Q】
第3クォーターは、ローポストのグリフィンからパスを受けたポールがスリーを決めてスタート。続いて、バーンズがバックドアでレナードの裏を取りダンクを決めると、スパーズのポポビッチ監督はディフェンスに隙を見せたレナードをすかさずベリネリに交代。神経質なまでの厳しさを見せる。

さらにポールがスリーを決めて、クリッパーズが65-59と6点リードすると、スパーズはグリーンが連続で長距離砲を沈めて65-64とすぐさまリードを消す。

クリッパーズがトップオブキーからのグリフィンのジャンパー、クロフォードのドライブからグリフィンのダンクで得点を重ねると、スパーズはパーカーがマッチアップのポールをドライブで攻めて連続得点し、残り4分で72-72の同点に。

一進一退の攻防が続き、76-76の同点で迎えた残り10秒、バックコートからスパーズのポゼッション。チームファウルがペナルティ未満のクリッパーズは定石通り、時間を切るためオースティン・リバースがボールホルダーのジノビリにファウルに行くが、これを読んだジノビリがシュートモーションでファウルを受け、3本のフリースローを得る。ジノビリらしいスマートなプレイで、スパーズがリードを奪ってクォーターを終えるかと思われた。

しかし、ジノビリがフリースローの3本目を外すと、リバウンドからのボールをポールが持ち上がり、3ptラインの1m手前からシュート。これがブザーとともに決まって、79-78。クリス・ポールのビッグプレイでクリッパーズが流れを引き寄せて、第3クォーターを終了。ポールは、キーになるスリーを3本沈めて、このクォーター9得点。


【4Q】
第4クォーター、スパーズはレナード以外ベンチメンバー、クリッパーズはレディックを除く先発にクロフォードを加えたメンバーでスタート。

序盤、ミルズ、ポール、ジノビリが交互にスリーを沈めると、速攻からバーンズのダンク、ディアウのジャンパー、クロフォードのドライビング・ジャンパーと続き、残り9分で86-86の同点。

ここで、スパーズもダンカンとパーカーが復帰。レナードのオフェンスリバウンドからジノビリのスリー、ベースラインを破ったグリーンのレイアップ・アンド1で、残り6分で95-91とスパーズがリード。この日の試合展開では、4点の得点差は非常に重く感じられる。

有利に立ったところで、さらにスパーズはハック・ア・ジョーダンを仕掛け、クリッパーズの焦りを誘う作戦。やむなく、クリッパーズはジョーダンをベンチに下げ、デイビスを投入。スパーズはダンカンがペイント内に攻め込み、97-92とリードを広げる。

しかし、クリッパーズはグリフィンがフリースローを2本決めると、レディックのスリーが決まり、残り5分で97-97の同点に。

この後のリードがめまぐるしく入れ替わる展開を抜け出したのはスパーズ。オフェンスリバウンドの混戦からファウルをもらいながらダンカンがねじ込むと、次もゴール下でリバウンドを拾ったレナードが得点し、105-102とリード。クリッパーズも、バーンズのスリーで追いつくも、スパーズはグリーンのスリーのミスをパーカーがタップで押し込んで、残り1:23で107-105。スパーズは、ジョーダン不在の穴を突いて、セカンドチャンスで連続得点をあげた。得点差以上にクリッパーズに与えた精神的ダメージは大きいと思われた。

しかし、次のプレイでクリッパーズは、ハイポストのグリフィンからハンドオフを受けたクロフォードがレイアップを決め、107-107。スパーズは、レナードがクロフォードの上からジャンパーを狙うがミス。勝ち越しを狙うクリッパーズはグリフィンがハイポストからジャンパーを狙うがミス。しかし、リバウンドをバーンズが押さえ、すかさずタイムアウト。同点のまま、試合は残り30秒を残すのみとなった。

再開した攻撃で、クリッパーズはクリス・ポールにボールを託した。ポールはグリフィンをピックに使って、右エルボー付近からジャンパーを狙うが、わずかにショート。しかし、ブロックに跳んだダンカンがポールにわずかに接触しており、ファウルの判定。残り13秒で、2FTが与えられた。

この2本をポールが沈め、109-107。スパーズはタイムアウトをとり、最後の攻撃に賭ける。
サイドラインから左エルボーのダンカンにボールが入る。ダンカンからハンドオフでボールを受けたベリネリは、トップオブキーからジャンパーを狙うが、とっさにスクリーナープレイでペイントにカットしたダンカンへのパスに切り替える。ダンカンのシュートは待ち受けていたバーンズがブロックしたかに見えたが、ベリネリからスイッチしてダンカンを遅れて捕まえたレディックが、後方からファウルをしており、ダンカンに2FTが与えられた。残り8.8秒。

この場面でダンカンは、ポール同様、冷静に2投沈めて、109-109の同点。クリッパーズは最後のタイムアウト。

最後の攻撃、クリッパーズは再びクリス・ポールにボールを託す。コート中央から、マッチアップのグリーンを引き連れながら縦にドライブ。ペイントの右縁まで侵入すると、グリーンに身体をぶつけてフェイダウェイ気味にランニング・ジャンパー。ヘルプに来たダンカンの上からバンクショットが決まり、111-109。残り1.0秒。スパーズ、タイムアウト。

スパーズ、最後の攻撃。ハーフコートの四隅にプレイヤーを配置するフォーメーションからプレイを始めようとするが、ボールを入れる前にゲームクロックが作動するアクシデントが発生。やり直しとなって、スパーズはもう一度同じセットプレイ。四隅にプレイヤーを配置し、中央にスペースを取ると、ベースラインからレナードがハイポストへ飛び出し、ここで急なターンでマークのグリフィンを振り切って、アリウープを狙う。しかし、バーンズがこのプレイを読んでいて、アリウープパスをカット。ボールがコートを転々と転がる間にタイムアップ。クリッパーズが勝利した。

クリッパーズはグリフィンが24点、13リバウンド、10アシストのトリプルダブル。ポールはスリー5本を含む27点。要所で活躍したバーンズが17点。
スパーズはダンカンが27点11リバウンド。パーカーは両チーム最多の21本のシュートを放ち20点、グリーンは16点5ブロックと攻守で活躍した。



ほとんどの時間帯を3点以下の得点差でリードが入れ替わり続ける大接戦を制したのホームのクリッパーズ。ベンチプレイヤーの活躍や、グリフィンのトリプルダウンもあったが、ゲームをコントロールし、最後に勝負を決めたのは、リーグNO.1ポイントガードといわれるクリス・ポール。故障の影響で明らかに脚を引きずっており、ピックアンドロールからペイントに侵入しアシストを量産するいつものプレイはほとんどできなかったが、常に大声でチームを鼓舞し、ジャンプシュートを正確に沈め、クラッチタイムでは1対1でゲームを決めた。

スパーズは王者らしい戦いを見せた。中軸のダンカン、パーカーがゲームを引っ張り、ロールプレイヤーも見せ場を作った。試合巧者らしさも随所に見せ、ホームのクリッパーズに最後まで大きなリードを許さなかった。しかし、いつもなら相手の気持ちを折り、じわじわリードを広げる場面で、この日はクリッパーズを追い落とすことができなかった。

連覇を逃したスパーズは、この夏、ダンカン、ジノビリがフリーエージェントに、レナードが制限付きFAになる。世代交代の促進も含めた大幅なロスター変更があるかもしれない。もしも、ダンカンが引退を選択すれば、20年近く続いた「王朝」にピリオドが打たれるだろう。

一方のクリッパーズは、セミファイナルに進出し、第2シードのロケッツと対戦する。クリス・ポールの故障の回復が気がかりだが、スパーズを下し、攻撃が魅力の好チームから勝負強い真の優勝候補に進化した感がある。球団初のカンファレンス・ファイナル進出、そしてその先に続くリーグ制覇も決して夢ではなくなってきた。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:スポーツ

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。