SSブログ

NBAのトレンドはオフェンス重視か [NBA]

NBAの強豪の条件はディフェンス力だと言われてきた。プレイオフに進出する勝率上位には相手の失点を低く抑えるチームがずらりと並ぶのが通常だった。しかし、今季のNBAはトレンドが変わってきたようだ。
ディフェンスよりもオフェンス力を看板とするチームが上位に進出するようになっている。
今季前半戦のデータをもとに、この傾向を確認してみる。

まずは1試合の平均得点。平均得点ベスト10のチームのうち、8チームが勝率10位以内に入っている。ここから漏れたクリーブランド、フェニックスも含めたすべてのチームが勝率14位以上でプレイオフ圏内を確保している。
一方、ワースト10のチームはマイアミとシャーロットの勝率17位が最高。平均得点上位と下位のチームが勝率でも上位と下位に分かれている。

平均失点ベスト10のチームで勝率10位以内に入っているのは、メンフィス、アトランタなど4チームのみ。インディアナ、ユタの2チームはプレイオフ圏外に沈んでいる。
平均失点ワースト10のチームからもトロント、ダラス、LAクリッパーズの3チームが勝率10位以内に入っている。

今季のNBAは、ディフェンス力よりオフェンス力が重要であるように見える。

さて、しばしば言われるように平均得失点は必ずしもオフェンス力、ディフェンス力を表わしているわけではない。速攻主体のアップテンポのゲームをすれば攻撃回数が増えるため得点が増える。同時に相手の攻撃機会も増えるので失点も増えやすい。反対にハーフコート中心でゲームを行えば得失点ともに減る傾向にある。
そこで、NBA.COMでは PACE、OffRtg、DefRtgという数値を公開している。
PACEは1試合平均のポゼッション数(攻撃回数)。多いほどアップテンポなゲームを好み、少ないほどハーフコート中心のチームということになる。
OffRtgとDefRtgは100ポゼッションあたりの得点と失点。必ずしもこれが純粋な攻撃力、守備力というわけではないが、ゲームのテンポの影響を大きく受ける平均得失点よりもそのチームの攻撃力、守備力を的確に表わしているといえるだろう。

興味深いのは、勝率で首位を走るゴールデンステイト・ウォリアーズだ。平均失点は15位だが、DefRtgは1位。リーグでもっとも速いPACEでゲームをすすめるため相手の攻撃機会も増えてしまうが、実際には守備は非常にいいことが分かる。
勝率上位10チームのうちDefRtgベスト10チームは6チームで、ワースト10チームはゼロ。特に勝率上位5チームはすべてDefRtgベスト10チーム。と、平均失点では分かりにくかったがDefRtgで見れば、やはりディフェンス力は重要であるようだ。


PTS OP.P OffRtg DefRtg PACE
1 Golden State 1 15 2 1 1
2 Atlanta 6 4 5 6 15
3 Memphis 15 1 11 7 25
4 Houston 7 17 13 8 3
4 Portland 8 8 10 3 10
4 Toronto 5 21 4 18 19
7 Dallas 3 23 3 14 12
8 Los Angeles C 2 22 1 19 14
9 San Antonio 12 3 12 4 22
10 Chicago 9 12 9 13 18
11 Washington 18 9 14 5 17
12 Cleveland 10 13 6 23 24
13 Milwaukee 19 6 17 2 13
14 Phoenix 4 28 7 17 2
15 Oklahoma City 13 11 16 10 8
16 New Orleans 17 16 8 25 27
17 Charlotte 27 5 29 9 23
17 Miami 28 2 20 21 30
19 Brooklyn 26 14 24 20 26
20 Boston 11 25 23 15 4
21 Detroit 21 18 18 16 20
22 Indiana 23 7 27 11 21
23 Denver 14 26 21 22 5
24 Utah 24 10 15 27 28
25 Sacramento 16 27 19 26 9
26 Orlando 25 24 25 24 16
27 Los Angeles L 20 30 22 29 11
28 Philadelphia 30 20 30 12 6
29 Minnesota 22 29 26 30 7
30 New York 29 19 28 28 29


さて、本当に重要なのは攻撃なのか守備なのか。これらの数値のうち、勝率との相関性のもっとも高いものはどれだろうか。
ここでは、チームごとに(勝率順位 - 各数値の順位)の絶対値をとり、その平均値を算出してみた。
つまり、それぞれの数値と勝率で順位の並びが似ているほど小さい値となる。たとえば、勝率とぴったり並びが同じになれば0、真逆に並べば15、相関性が無い場合は8程度の値となる。
結果は以下の通り。

PPG 4.67
OPP.PPG 7.2
OffRtg 4.4
DefRtg 5.33
PACE 9.67

勝率の並びともっとも近いのは、OffRtgだった。つまり、強いチームはOffRtgが高く、弱いチームは低い。あたりまえのことを言っているようだが、他の数値に比べると例外が少ないということだ。
DefRtgも一定の相関性を見せたが、平均得点よりも相関性は低かった。
平均失点は相関性がほとんど見られなかった。

やはり、今季のNBAはオフェンス力がチームの成績を分けていると考えられる。

さて、ゲームのテンポとチームの成績に関連はあるだろうか。速攻主体とハーフコート型のチームのどちらが結果を残しているか。
勝率上位10チームのうちPACEベスト10のアップテンポ型チームは3チーム、ワースト10のスローテンポ型は2チーム、中間が5チームとなった。また、全体でも勝率とPACEの相関性はまったく無し。
しかし、数年前にはハーフコート主体で平均失点を低く抑えるタイプのチームが成績上位にずらりと並んでいたことを考えれば、トレンドとしてはスローからアップテンポに振れてきているとも言えるだろう。

ゴールデンステイト、ポートランド、ヒューストンの3チームはそんなトレンドを体現して成功しているチームだろう。アップテンポなゲームを好み得点力が高い。しかし、ディフェンスも強固。「走っても、走られない」というバスケットをしている。

トロント、ダラス、クリッパーズもハイスコアリング・ゲームを志向するチームだが、上記3チームよりテンポが遅くハーフコートの比重が高い。しかし、ディフェンスにもろさが見られるのが玉にキズ。アトランタ・ホークスもよく似たタイプだが、ディフェンスが強いところが他のチームに差をつけているポイントになるだろうか。

反対に、スローテンポで相手の失点を低く抑える古典的な強豪スタイルで戦っているのが、メンフィス、サンアントニオ、ワシントンといったチーム。
ちなみに、メンフィス・グリズリーズは平均失点ではリーグ1位だが、DefRtgは7位(OffRtgは11位)。ディフェンスは強い方だが、圧倒的なわけではない。ロースコアの試合に持ち込んで、接戦をものにする勝負強さが最大の武器といえるだろう。

同じようなスタイルを目指しながら結果が出ないのが、マイアミ、ブルックリン、ニューヨークといったところ。平均失点が低いのは、ゲームのテンポが窮めて遅いからで、実際はディフェンスはよくない。オフェンスに爆発力が無いので、スローダウンしてロースコアゲームに持ち込もうという戦術だろうが、それで勝つにはしっかりしたディフェンス力が必要になる。

最後におもしろいのは、いまやドアマットの代名詞になったフィラデルフィア・シクサーズ。若くてアップテンポなゲームを志向するチームだが、DefRtgは12位と悪くない。通常、若手主体でトランジションゲームを行う勝てないチームはディフェンスがルーズになりやすいのだが、シクサーズはそこがしっかりとできている。得点力が壊滅的に悪いので勝利に結びついていないが、意図を持ってチームを作っており、今後に期待が持てる。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。