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アベノミクスは成功するか [その他]

今年の新語・流行語大賞の候補に「トリクルダウン」という言葉があった。

野村證券の証券用語解説集によると、
「富裕者がさらに富裕になると、経済活動が活発化することで低所得の貧困者にも富が浸透し、利益が再分配される」と主張する経済理論。
とある。
いわゆるアベノミクスの景気刺激策がどのように社会全体に行き渡るかを説明するのに用いられる理論だ。

この項には続きがある。
開発途上国が経済発展する過程では効果があっても、先進国では中間層を中心とした一般大衆の消費による経済市場規模が大きいので、経済成長にはさほど有効ではなく、むしろ社会格差の拡大を招くだけという批判的見方もある。

7-9月期のGDP速報値が2期連続でマイナスになった。その理由は、上記の文章で説明できる。
内訳を見ると消費の落ち込みとそれを見越した企業が設備投資を控えたことが大きな要因になった。現在の日本は個人消費がGDPの約6割を占めている。金融緩和と財政支出による景気刺激を分厚い個人消費が打ち消した形だ。

民主党の選挙公約にある「豊かな中間層を復活させる」というのは2008年のアメリカ大統領選でオバマが掲げた公約の焼き直しだ。これは、ブッシュ政権の経済政策と重ね合わせたアベノミクス批判と受け取っていいだろう。

ブッシュ時代のアメリカの経済政策は富裕層減税が中心だった。減税で生まれた富裕層の余剰資金が消費と投資に回り、雇用が増え景気が改善すると期待された。しかし、余剰資金は中国を中心とした海外の生産拠点に回って国内の経済発展に寄与せず、貧富の格差を拡大したという批判を浴びた。

アベノミクスにも似たところがある。
株高は米国の好景気もあって外国人投資家の買い越しによる支えられている部分が大きい。つまり株高の差益がすべて国内に還元されるわけではないこと。
円安による企業業績の改善は、ドル建ての海外収益が円換算で大きくなるためで、輸出による売上げ自体が増えているわけではないこと。多くの輸出企業は既に海外に生産拠点を移しているため円安の効果は限定的で、生産拠点が国内に戻るわけでもない、つまり、国内の雇用に直結しないということ。
一方、燃料や化学繊維、プラスチックなどの石油製品、小麦粉などの食品は価格が高騰するデメリットもある。
財政支出にしても、材料費の高騰のため公共事業の入札が成立しない状況になっている。
つまり、景気刺激策で投入した資金が国外に漏れ出し、国内の雇用や賃金につながりにくい状況がある。

ブッシュ時代は、国外に流出した資金を金融商品への投資という形でアメリカに還流させようとした。さらにその資金を一般世帯の消費に回すために、「サブプライムローン」を開発して低所得層でも簡単にローンを組んでどんどん買い物できるようにした。その結果がリーマンショックによる世界規模の経済破綻だった。

アベノミクスは同じ轍を踏まないだろうか。
タグ:アベ
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